なぜ「言われたことしかやらない若手社員」が増えているのか

部下に対する課題No.1

ここ数年,管理職やマネージャー向けに研修を実施するにあたり,最初にディスカッションを行ったり,事前にアンケートを取ったりすると,最も多く挙げられるのが,「最近の若手社員は言われたことしかやらない」という声です。
ちょっとした雑用ぐらいなら上司や先輩が動く前にさっと席を立って積極的に動いてほしいところ,指示されるまで何もしようとしないそうです。あるいは一度教えてできるようになった業務について,目の前に対応できる状況が起こっているにもかかわらず,「それやって」と言われないかぎり自発的に動こうとしないという話もよく耳にします。
弊社では,ここ最近企業様からご依頼が急増している「仕事の質を高める研修」というものがあります。これは,若手社員に質問や相談の大切さを認識してもらうことが大きな目的であり,あえて情報があやふやな状態をつくり出して「そのなかでどう動くか」を考えてもらいます。 しかし,情報収集のために積極的に質問や相談をしてくる若手社員は約1 割程度であり,大半は分からないままじっとしていてその状態に疑問すら持っていない様子も見受けられます。だからこそ研修を行う意味があると言えばそれまでですが,最近はこの傾向がより一層強まっているように感じます。

「アバウトがない」時代環境を理解する

こうした状況が生まれる要因として,昨今のアバウト(つまり曖昧さ)がない時代環境が大きく影響していると考えられます。生活のあらゆるツールがデジタル化されて0か1かOKかNGかが明確になり,中間の曖昧さというものが失われています。また,様々な情報がネット上に氾濫しており,1つの事柄を検索してもあらゆる視点から詳細に解説されています。さらに,失言,不適切発言に対して過敏になりすぎている風潮も大きく影響しています。曖昧な言葉を発してしまうと,すぐさま多方面から曲解されて炎上する光景が連日メディアを賑わせています。
今の若手社員は幼少期からこうした時代のなかで育ってきたことが「自ら動けない」心理につながっているのです。仕事において上司や先輩から「言われたこと」と「言われていないこと」は,まさにデジタル的な「OK」「NG」として解釈され,「言われていないこと」に対して積極的な行動に自然とブレーキがかかってしまうのです。なかには「言われていないことはやってはいけない」と認識しているケースもあるほどで,積極的に動くことを期待する上司や先輩とは真逆の意識を持っています。まずは,若手社員のこうした意識を理解して受け止めてあげることが大切です。「言われたことしかやらない」「自分から動こうとしない」といった否定的な見方をするのではなく,「言われたこと以外もやってよい」「言われていないこともやってほしい」ことを伝えることから指導を始める必要があります。

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